2017/10/11 00:00


奈良・吉野・川上村。
スギとヒノキに囲まれた山深いこの村は、植林発祥の地。
室町時代に遡ります。
他の土地と比べて3倍の密植。
下草刈りや枝打ち、間伐が丁寧に繰り返され
ゆっくりと、じっくりと太くなりながら空に向かって育っていきます。

江戸時代になると
大切に育てられた節のない吉野のスギは、

樽や桶の材料として使われだします。
酒、醤油、味噌・・・漬物
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暮らしの道具もスギだらけ。近所に暮らしていた曽祖父の家はまさしくそんな感じでした。
なんでも自分で作る。
生活の中にスギは当たり前のように存在していました。まさに日本人の暮らしの根っこ。

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私の作っている癒しのリンゴとカキはそんな吉野で育ったスギを使っています。
80年~100年、中にはもっと歳を取っているかもしれません。
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一本の角材を4等分にし、貼り合わせ、ブロック状にしたものをそれぞれの形に整えていきます。
年輪の間隔や色味、節があったりなかったり。貼り合わせることで現れた模様は一つとして同じものがありません。

その面白さは真っ直ぐに育ったスギだからこそなのです。
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日々のモノづくりの中でスギやヒノキの優しさや温かさに、自分自身が癒されていることに気づかされました。
白い犬が作っていくモノたちが、さりげなく皆さんの暮らしの中に長く寄り添えることが出来たなら
こんな嬉しいことはありません。
スギが暮らしの根っこだった頃のように。